近藤 史恵さん三冊
2008.08.28
本
メディアマーカーが便利なので、そのうちこのブログの本カテゴリーが開店休業になってしまうかもしれません…。登録してここ二ヶ月を見返してみると、近藤史恵さんの本を三冊読んでいます。
ふたつめの月
近藤 史恵

初めて読んだのが『にばんめの月』☆3、主人公の周りでいろいろな出来事があるにも拘らずその心情が迫ってこず、これはうっかり続編から読んでしまったためかと思っていたのでした。
サクリファイス
近藤 史恵

次が『サクリファイス』☆3.5。自転車レースを題材としていて、競技ルールやマナーなど、とてもわかりやすく説明されています(漫然と海外の有名ロードレースをTVで観るぐらいレベルの自分には鬱陶しくないギリギリ。自転車に乗っている人だと蛇足や勘違いがわかるかも)。
ミステリ部分については、うーむ成立はしているけれ状況甘過ぎだよなあと。そしてやっぱり登場人物の心情や行動が通り一遍で、全編プロットのようです。風景描写が事象の列挙っぽくて、何より自転車レースで感じられるであろう風の感覚が伝わってこないのが残念でした。
タルト・タタンの夢
近藤 史恵

『タルト・タタンの夢』☆3.5。料理ミステリは一粒で二度おいしい(笑)気になるのは、語り手の存在の意味です。ちょー傍観者。言ってみればホームズがビストロの料理長でワトスンが語り手の新入りギャルソンなのですが、二人はほとんど絡みません。
ギャルソンくんは一人暮らしで自転車でお店に通っている設定があるぐらいで、彼がどんな生活をして何を考えているのかさっぱり触れられていないのです。その存在自体がミステリとして据えられているのだとして(そんな伏線はないけど)、刊行されている続編で「実は僕は開発中のギャルソンロボットなのだ。友人も親もいない」となっていたら逆に納得しそうです。
あんまり良い感想を持っていないような書き方ですが、でも二月で三冊なら悪くないペースです。突っ込んだ深い描写がないから逆にとても読みやすいし、人物設定が身近に感じられるからなんだと思います。若いうちにデビューされている方のようですから、この先だんだん人物に魂がこもってゆくのを楽しみにしたいです。
*にしても、『サクリファイス』が本屋大賞二位ってのはどうかと思います。本屋大賞の意義はともかく(前提間違ってるかw)、現状厳しい本屋さんが売るべきは、読書家へお進めする「埋もれた名作」、本を読まない人が夢中になる「名作」であって「読みやすい本」ではないのでは、というのが夢見がちな自分の希望です。
*『サクリファイス』の表紙、新潮社装丁室とあろうものが、なんであんなコンクリ背景の写真を使ったのか?ロードレースの醍醐味の一つは、自然の息吹を感じられる風景でしょう!本編だって山岳レースがポイントじゃんか〜。
ふたつめの月
近藤 史恵

初めて読んだのが『にばんめの月』☆3、主人公の周りでいろいろな出来事があるにも拘らずその心情が迫ってこず、これはうっかり続編から読んでしまったためかと思っていたのでした。
サクリファイス
近藤 史恵

次が『サクリファイス』☆3.5。自転車レースを題材としていて、競技ルールやマナーなど、とてもわかりやすく説明されています(漫然と海外の有名ロードレースをTVで観るぐらいレベルの自分には鬱陶しくないギリギリ。自転車に乗っている人だと蛇足や勘違いがわかるかも)。
ミステリ部分については、うーむ成立はしているけれ状況甘過ぎだよなあと。そしてやっぱり登場人物の心情や行動が通り一遍で、全編プロットのようです。風景描写が事象の列挙っぽくて、何より自転車レースで感じられるであろう風の感覚が伝わってこないのが残念でした。
タルト・タタンの夢
近藤 史恵

『タルト・タタンの夢』☆3.5。料理ミステリは一粒で二度おいしい(笑)気になるのは、語り手の存在の意味です。ちょー傍観者。言ってみればホームズがビストロの料理長でワトスンが語り手の新入りギャルソンなのですが、二人はほとんど絡みません。
ギャルソンくんは一人暮らしで自転車でお店に通っている設定があるぐらいで、彼がどんな生活をして何を考えているのかさっぱり触れられていないのです。その存在自体がミステリとして据えられているのだとして(そんな伏線はないけど)、刊行されている続編で「実は僕は開発中のギャルソンロボットなのだ。友人も親もいない」となっていたら逆に納得しそうです。
あんまり良い感想を持っていないような書き方ですが、でも二月で三冊なら悪くないペースです。突っ込んだ深い描写がないから逆にとても読みやすいし、人物設定が身近に感じられるからなんだと思います。若いうちにデビューされている方のようですから、この先だんだん人物に魂がこもってゆくのを楽しみにしたいです。
*にしても、『サクリファイス』が本屋大賞二位ってのはどうかと思います。本屋大賞の意義はともかく(前提間違ってるかw)、現状厳しい本屋さんが売るべきは、読書家へお進めする「埋もれた名作」、本を読まない人が夢中になる「名作」であって「読みやすい本」ではないのでは、というのが夢見がちな自分の希望です。
*『サクリファイス』の表紙、新潮社装丁室とあろうものが、なんであんなコンクリ背景の写真を使ったのか?ロードレースの醍醐味の一つは、自然の息吹を感じられる風景でしょう!本編だって山岳レースがポイントじゃんか〜。
『ファントム・ピークス』北林 一光
2008.08.02
本
ファントム・ピークス
北林 一光

妻を亡くした主人公が暮らす地へ、たびたび現れるモンスターの影。そこで巡り会った専門家の若い女性…ってまんまホラー映画の設定です。映画畑出身の著者。話の構成も王道にのっとって、来るべきヤマとあるべき小休止、説明シーンなど堅実に進行してゆきます。最初の著作(そして最後)だけあって文章は拙い部分もありますが、それを補う熱意に好感。
なかなか楽しめますが、わたしは途中で別の方向へ関心が向いてしまって、この作品そのものの感想だったのか基となった生き物と事件のあらましを知って受けた衝撃だったのか、もうごっちゃです。そのモンスターであるファントムのモデルについて書いてしまうとネタバレ(前半で明らかにはなるものの)になってしまうのがもどかしい…。
☆4
男性らしい武骨さがちらちら見える文章です。特に所有車種をほとんどその人物のアイデンティティとして扱っている部分がいかにもいかにも。
せっかくなので、続きに基となった事件についてのリンクをはっておきます。当然前半部分のネタバレです。
北林 一光

妻を亡くした主人公が暮らす地へ、たびたび現れるモンスターの影。そこで巡り会った専門家の若い女性…ってまんまホラー映画の設定です。映画畑出身の著者。話の構成も王道にのっとって、来るべきヤマとあるべき小休止、説明シーンなど堅実に進行してゆきます。最初の著作(そして最後)だけあって文章は拙い部分もありますが、それを補う熱意に好感。
なかなか楽しめますが、わたしは途中で別の方向へ関心が向いてしまって、この作品そのものの感想だったのか基となった生き物と事件のあらましを知って受けた衝撃だったのか、もうごっちゃです。そのモンスターであるファントムのモデルについて書いてしまうとネタバレ(前半で明らかにはなるものの)になってしまうのがもどかしい…。
☆4
男性らしい武骨さがちらちら見える文章です。特に所有車種をほとんどその人物のアイデンティティとして扱っている部分がいかにもいかにも。
せっかくなので、続きに基となった事件についてのリンクをはっておきます。当然前半部分のネタバレです。
『ライン4』西村 しのぶ
2008.06.20
本
ライン(4) (ワイドKC キス)
西村 しのぶ

はー、もう続きは出ないのかと思ってました。掲載誌と単行本収録に間が空いているのは何か意味が?目新しかった設定のシルバーアクセ、年下彼氏、金髪、汚女などずいぶん普通もしくはブームが沈静化しましたね。思えば既巻を読んで、「うーんまだ望みはあるかもなー。新しい恋愛したいなー」と大台を前に当時つきあっていた人とお別れしたのでした。マンガで一大決心って!わはは。
服屋のやり手三十路バツいち女性店長が年下の恋人といちゃいちゃいちゃいちゃしている作品で、相変わらずいちゃいちゃです。もっとも物語の中では大して時間は進んでいないようですが。ハナちゃん25ちゃいのまんまだし。今回そのサイドストーリーのハナちゃんがいい!給料の半分以上をお洋服に費やし、きっちゃない部屋でゆで落花生とビール、鉢植えミントを枯らす。『そういう時期なんだもん。お仕事楽しいんだもん』ってのがぐっときます。そうそう、無鉄砲な時期ってあるのさ〜。
ハナちゃんも、主役のお二人も周りのみなさんも、このまま面白可笑しく、時につまずきつつ暮らしていってほしいです。また続きが出るといいいのですが。
西村 しのぶ
はー、もう続きは出ないのかと思ってました。掲載誌と単行本収録に間が空いているのは何か意味が?目新しかった設定のシルバーアクセ、年下彼氏、金髪、汚女などずいぶん普通もしくはブームが沈静化しましたね。思えば既巻を読んで、「うーんまだ望みはあるかもなー。新しい恋愛したいなー」と大台を前に当時つきあっていた人とお別れしたのでした。マンガで一大決心って!わはは。
服屋のやり手三十路バツいち女性店長が年下の恋人といちゃいちゃいちゃいちゃしている作品で、相変わらずいちゃいちゃです。もっとも物語の中では大して時間は進んでいないようですが。ハナちゃん25ちゃいのまんまだし。今回そのサイドストーリーのハナちゃんがいい!給料の半分以上をお洋服に費やし、きっちゃない部屋でゆで落花生とビール、鉢植えミントを枯らす。『そういう時期なんだもん。お仕事楽しいんだもん』ってのがぐっときます。そうそう、無鉄砲な時期ってあるのさ〜。
ハナちゃんも、主役のお二人も周りのみなさんも、このまま面白可笑しく、時につまずきつつ暮らしていってほしいです。また続きが出るといいいのですが。
『風に桜の舞う道で 』竹内 真
2008.06.17
本
風に桜の舞う道で (新潮文庫 た 83-2)
竹内 真

学費免除、寮費不要の特待生制度のある予備校…、冗談のようなそんなバブル時代。その時を過ごし、大学受験に費やした日々のある男性にはお薦め本です。1990年当時と2000年現在が交互に語られます。浪人時代の自己模索や年上の女性への恋心や異性への憧れ(つーか性的関心)などがくどすぎずに語られます。女性からすると、男性同士のべたつかないつきあい方はいつも憧れです。
☆3.5
登場人物の呼び名のほとんどがカタカナなのが今ひとつ。インパクトが弱い登場人物がいるので混乱してしまいました。発表時期から更に8年後の今読むと、更に時代感がずれます。この頃はグラフィックデータをMOで納品してるんだなーとか(笑)
竹内 真
学費免除、寮費不要の特待生制度のある予備校…、冗談のようなそんなバブル時代。その時を過ごし、大学受験に費やした日々のある男性にはお薦め本です。1990年当時と2000年現在が交互に語られます。浪人時代の自己模索や年上の女性への恋心や異性への憧れ(つーか性的関心)などがくどすぎずに語られます。女性からすると、男性同士のべたつかないつきあい方はいつも憧れです。
☆3.5
登場人物の呼び名のほとんどがカタカナなのが今ひとつ。インパクトが弱い登場人物がいるので混乱してしまいました。発表時期から更に8年後の今読むと、更に時代感がずれます。この頃はグラフィックデータをMOで納品してるんだなーとか(笑)
『ゴールデンスランバー』伊坂 幸太郎
2008.06.09
本
ゴールデンスランバー
伊坂 幸太郎

いつものように構成の妙は快感だし、洒落もセンチメンタルなモチーフも効いてるし。挙げたすべてを兼ね供えているのが「痴漢は死ね」なのが素晴らしい!巨大な謎と受け取られかねないことも規定の事実としてうっちゃっているのもあっぱれだし。
☆4
・しかし伊坂さんは「二年ぶり書き下ろし大作」なんて煽りより、「まーた新刊出してるよ」ぐらいの方が勢いが良い気がするのであった。
・「国家的陰謀」というセンセーショナルな言葉が本屋大賞受賞を加速させたのでしょーか。本屋さんが伊坂さんの作品を売ろうとする時に選ぶのはこの本なのでしょーか。過去未来問わず、他の作品を選んでほしかった。です。
伊坂 幸太郎

いつものように構成の妙は快感だし、洒落もセンチメンタルなモチーフも効いてるし。挙げたすべてを兼ね供えているのが「痴漢は死ね」なのが素晴らしい!巨大な謎と受け取られかねないことも規定の事実としてうっちゃっているのもあっぱれだし。
☆4
・しかし伊坂さんは「二年ぶり書き下ろし大作」なんて煽りより、「まーた新刊出してるよ」ぐらいの方が勢いが良い気がするのであった。
・「国家的陰謀」というセンセーショナルな言葉が本屋大賞受賞を加速させたのでしょーか。本屋さんが伊坂さんの作品を売ろうとする時に選ぶのはこの本なのでしょーか。過去未来問わず、他の作品を選んでほしかった。です。

